好きに語らせろ

ITとギター機材について語らせてほしい

ジャズマスターブリッジの不満点と改善点について語らせろ

三度の飯よりジャズマスターが好き

今回はジャズマスターユーザーの100%が一度は悩むブリッジについて語ってみる

現状把握

所有しているFender Japan製ジャズマスター(たぶんJM66)の各寸法を計測してみる

  • 12F弦高:6弦1.6mm 5~2弦1.4mm 1弦1.3mm
  • 指板R:おそらく184R
  • ネックポケットの深さ:15mm(ぐらい)
  • 指板頂点からボディ天面の高さ:11mm(ぐらい)
  • ブリッジ土台の底面からボディ天面までの高さ:5.45mm
  • ブリッジ土台の底面からブリッジ駒頂点までの高さ(6弦側):7.85mm
  • ブリッジ土台の底面からブリッジ駒頂点までの高さ(1弦側)8.3mm
  • バズストップバー~ブリッジ間の弦の角度:だいたい8~10度(弦によって異なる)

ざっくりこの状態だとジャズマスターにありがちなテンション感ゆるゆるの弾きづらい状態は改善される(ネックポケットが若干浅めでシムも付けてなおかつバズストップバーも付けているおかげだと思われる)

標準ブリッジのクソなところ

さて標準で付いてくるスパイラルサドルのブリッジだと以下の問題が生じる

  • 弦が落ちる(バズストップバーである程度対処は可能)
  • ブリッジ土台(凹状)の壁部分の天面と弦が当たる場合がある
  • 壁に当たらないように土台を下げると今度は駒のネジが弦と当たる
  • ブリッジが揺れ動くので調整のたびに位置がずれる
  • オクターブ調整が死ぬほどやりづらい(弦と調整ネジが重なっているためドライバーが差しこみづらい.特にバズストップバーをつけようものならオクターブ調整ネジの頭部と弦とのクリアランスがほとんどないためにドライバーが差せない.L字ドライバーのようなもので頑張るしかないので,誰か正解を教えてほしい)

というめちゃくちゃシビアな調整が必要でクソ

最初に手を打つところ

  • ブリッジを固定する(真鍮等の金属板,養生テープ等)
    筆者の場合は後述するパーツを試したが寸法が合わなかっため,養生テープで巻いて隙間を埋めることで応急対処をしている
  • 駒をムスタング用等一本溝タイプに交換する
    ムスタング用の駒だと標準のものでは各弦の高さ調整が不可能.
    ただし調整可能なものも売られているため,こちらに交換することをおすすめする

ただしこれらをしても不満点がすべて解消されるわけではないので,次の対策に移るユーザーもいるだろう

第二の選択肢 ブリッジ交換

  • TOMブリッジ
    よくあるブリッジ交換の手法として用いられるチューン・O・マチック(通称:TOM)ブリッジへの交換
    スタッドアンカーの打ち直しなど手間がかかるため敬遠されるパターンも多いが,無改造で取り付け可能な方法もあるにはあるので下記に示す
  • GOTOH:PGE-103BTC
    こちらもTOMタイプだが,ブリッジを支える支柱がセリアゲタイプではなくスタッドタイプになっている.このスタッド径が8mmで日本製のジャズマスター用スタッドアンカーと内径が同一なのですっぽりハマる可能性がある.
    ただしこのブリッジだとスタッド間の寸法は74mm.一方ジャズマスターのスタッド間の寸法は73mmと微妙に差があるため,仮にブリッジ部分の装着穴とスタッドをブリッジに差す部分がカチカチに作りこまれていて隙間がない場合は装着が難しい可能性もあり.人柱必須
  • 工業用パーツを使ったスタッドの代用品(ホシモト丸型スペーサーEO-420)


    すでに先人が市販されているパーツで代用できないかを試していた.
    こちらもスタッド径は8mmなので日本製のミリ規格品であれば装着できる可能性が高い.パーツ自体も大変お安くモノタロウで買い求められるため選択肢には十分入るのではなかろうか.

  • POPTUNE:PTB500RT/C
    ここまで紹介した無改造の方法だとほぼ日本製のものしか合致せず,インチ規格(約7.8mmのスタッド内径)で作られている製品だと取り付けが不可能だった.
    ということで完全にTOMから離れてしまうが,スタッド径が7.8mmでUSA製等のジャズマスターでも取り付けられるブリッジを紹介したい.
    実物は見たことがないが,写真を見る限りローラーサドルな上にブリッジも完全に固定されるので良い選択肢ではなかろうか.

だがそれでもオクターブチューニングのしづらさは,解消してくれない可能性が高い(少なくとも構造を見る限りは)

最後の砦 マスタリーブリッジ

ジャズマスターブリッジのリプレイスメントパーツとしては最高峰そして最後の砦ともいえるマスタリーブリッジ.もうこれしかない.

  • Mastery Bridge M1/M2
    M1がインチ規格,M2がミリ規格になっている.とにかく頑丈そうな構造,そしてオクターブ調節ネジが合わせて4個しかない.つまり,ネジが弦と干渉することが無くなる(ネジ自体は六角レンチで回すようだ).
    TOM系統の製品より元のジャズマスターブリッジの構造に寄せているが,ブリッジ土台の壁が低くなっているため,弦と干渉することもない.
    つまり超優秀なのだ.だが欠点もある.
    高額なことと,厳密な弦高調整やオクターブ調整ができないことである.
    というのもサドルが6,5,4弦と3,2,1弦でそれぞれ共通化されているためサドルが2つしかない.現在のエレキギター用の弦ならば6~4が巻き弦で3~1がプレーン弦なので,ギターの状態が適切であればサドルの向きは6弦側から//という感じになるため,そこまでの支障はない.ただ構造上5,2弦が弦高・オクターブ調整ともに多少は犠牲になるのは致し方ない.それを差し置いても良いパーツなはずだ.

番外編 ブリッジ周辺の追加パーツ紹介

  • バズストップバー
    ジャズマスターあるあるのだるだるなテンション感を解消するための第一選択肢はこれだろう.比較的安いのでコスパはいい.ただ普通のブリッジだと更にオクターブ調整がしづらくなるのがデメリット(ブリッジを回転させてネジ頭がネック側を向くようにするという工夫をすればいいパターンもある)
  • Retro Tone Pickups:Bridge Fixing Bush for JM,JG,MG
    ブリッジポストとブリッジスタッド間の隙間を埋めて固定させるためのパーツ
    筆者もこれを導入したが,装着していたブリッジのポスト径が6.6mmと微妙に太かったため装着できず断念した経緯がある.購入前に寸法を測ることは必須. (最近のFender USA製アメプロやアメプロⅡなどに同様の働きをするパーツが載せられているのを実際に確認している. fender側も改善したかったということか)

閑話 変わり者ブリッジシリーズ

ジャズマスターブリッジにも一見すると風変わりなものがある.

それをご紹介しておきたい.

  • Fender Custom Shop:RSD Jazzmaster / Jaguar bridge


    www.facebook.com

    2サドルであることはマスタリーブリッジと共通するが,構造を見ると全然調整できるところが少なさそうである.特にオクターブ調整どうやんねん.
    真鍮製のサドルならレトロトーンなどで売っているため,あえてこれを搭載する利点は少ないと唱えたい.(いつか実機を触って細かい構造を見てみようと思う)

  • Fender Cutstom Shop:名称不明ブリッジ

    www.instagram.com

    2サドルでビビることなかれ,ついに1サドルのブリッジが登場だ!
    詳細は不明だが,Fender Custom Shopのマスタービルダー:デニス・ガルスカが制作した品だと思われる.
    ジャズマスター唯一の利点,各弦ごとにできるオクターブ調整をかなぐり捨ててまで作り上げたこのブリッジ.ぜひ一度弾いてみたい.

終わりに

とりあえずジャズマスターユーザーが解消すべき点は弦落ちとブリッジの固定の2点ではなかろうか.

ということでサドル交換と上記パーツや養生テープ等でブリッジポストを固定してみてほしい.

それだけでもQOGL(Quality of Guitar Life)は爆上がりするだろう.

なお筆者は欲が出てきたのでそのうちマスタリーブリッジに交換する予定だ.

交換後にまたレビューをしたいと思う.